★作品へのこだわり

製造過程

勾玉を作る場合の流れをご紹介します。

1. 糸魚川を中心に全国から原石を調達

長年培ってきた人脈から情報が入る度に、直接現地を訪問し原石を査定しています。糸魚川翡翠の採取地が天然記念物に指定される前に収集された、個人収集家の方々から連絡が入ることもあります。さらに糸魚川で年に数回開催される翡翠市にも毎回足を運び、様々な情報を集めて糸魚川翡翠の原石調達を行っています。

2. 原石を板状に切断

巨大な原石を大割り機で切断し、16mmほどの厚みの板状に加工していきます。
ひすい輝石が原石の中でどのような広がりをしているのかは、切ってみなければわかりません。良質の部分をいかに良い状態で切り出すために、上下・左右から何回にも分けて少しずつ切断していきます。

原石を板状に切断していく
原石を板状に切断していく

3. ブロック分け

原石を切り出した板を、扱いやすいように350mm四方の形に切断機でブロック分けをします。(350×350×16mmの板状)

4. デザインの下書き

翡翠の色味やひすい輝石の発色の仕方などから、どこを活かしてどこを削るかを決定します。石の活かしたい部分に直接勾玉の形を下書きし、切り出す形をイメージします。クラック(※1)の入り具合や形をみて、勾玉から違う作品用に変更することもあります。

翡翠の表情を見て、切り出す部分や形をイメージする
翡翠の表情を見て、切り出す部分や形をイメージする

※クラックとは翡翠に見えるヒビのことです。高圧力の地底から地上に出てくる過程で体積が急激に変化することで、内部にヒビが入ります。 翡翠の形成によるもので、実はひすい輝石の純度が高い良質な翡翠ほどはっきりとヒビが入りやすいともいわれています。

5. 切り出し

書き込んだ下書きを参考に、まず勾玉の大きさよりも少し大きめの長方形の形に小型の切断機で切り出していきます。

6. 研磨

ここからはより精密な作業になっていきます。石の硬さや作る勾玉の大きさにより、様々な道具を駆使して、周りから少しずつ勾玉の独特な形を削り出していきます。外側のカーブ、内側の尾の部分、頭の丸みなどは、何度作っても神経を張る作業です。ほんの少しの違いで仕上がりが全く違うので、手で磨きながら石の艶も出していきます。

研磨

7. 仕上げ

形を削り出した勾玉に穴をあけ、仕上げ磨きをします。
どこにどの程度の穴をあけるのかで、勾玉のもつ表情が変わります。最後の工程が一番緊張する瞬間です。

作品への想い

石の表情を見て作品をつくる

翡翠は自然の産物なので、同じように見えてもその表情はそれぞれ違い、個性あふれる存在です。こたきでは、翡翠の模様やクラックをその石が持つ独特の個性と捉え、その部分が輝く作品にすることを心掛けています。

制作のこだわり 事例紹介

こたきのこだわりが伝わるペンダントトップの事例を紹介します。薄い青色の糸魚川翡翠で、黒い部分は角閃石です。

薄い青色の糸魚川翡翠で、黒い部分は角閃石です

何かのきっかけで異なる2種類の岩石が隣り合い、長い時間をかけて結び付き1つの石として形成されました。なかなか巡り合えない石の表情です。

宝飾品として扱う翡翠の世界では、この角閃石の部分は本来なら切り落としてしまいます。翡翠のみで制作した作品の方が、価値が上がり高値で販売することができるからです。しかし、この石を見た時に面白いなと思い、境目を活かした作品にできないだろうかと考え、より明確に境目が際立つよう斜めのカットと磨きを入れ、デザインしました。

角閃石を入れることで、価値は下がります。ですが、自然が造り出した美しさを削り落としてしまうのは、どうしても抵抗がありました。2つの石が隣り合うことも珍しく、かつここまで明確に境目がくっきりと綺麗に分かるものは滅多にないからです。
また安価になることで、糸魚川翡翠を持ちたいけれどもなかなか手が出ず躊躇されているお客様にも喜んでいただけるのではと思い、作成いたしました。

光を透過した時に見える、内部で2つの岩石がまじりあう姿

光を透過した時に見える、内部で2つの岩石が混ざり合う姿が大変魅力的でした。このような自然が造り出す糸魚川翡翠の個性をお客様に楽しんでいただける様、これからも作品を届けていきたいと思います。