お客様インタビュー

触れた瞬間に、日本の心・日本の一部に触れることができた。
糸魚川翡翠との出会いとお客様にお送りする理由。

お客様インタビュー

世界中でも日本の糸魚川周辺でしか採掘されない糸魚川翡翠。近年海外からも注目を浴びています。
今回は糸魚川翡翠工房こたきのお客様の中でも特に珍しい、海外のお客様にお話を伺いました。お話を聞かせてくださったのは、三重県にお住まいで会社を経営されながら遺伝子学を研究されている学者のエイェナ エクレム様です。
海外から糸魚川翡翠はどう見られているのか。また、国際社会の中で日本産の翡翠はどのように受け止められているのか。日本人にはない視点で語っていただけるエクレム様のお話は、大変貴重なものでした。日本の外側から見る糸魚川翡翠の魅力を語っていただきました。

エイェナ エクレムさん (Ayna Ekrem) 熊野古道にて
エイェナ エクレムさん (Ayna Ekrem) 熊野古道にて

こたきで購入した糸魚川翡翠について

こたきでどのような翡翠をご購入されたのですか?

2022年の5月から2023年にかけて、糸魚川翡翠を7つ(勾玉を1つ、くりぬき指輪を3つ、管玉を3つ)こたきさんから買わせていただきました。

ご購入の目的をお聞きしてよろしいですか?

私は会社を経営しているのですが、顧客へのプレゼント用に買いました。私の顧客はとても大きな会社に勤めている方々で重要な人物です。私は彼らに日本を象徴するような、より日本らしい価値の高いものを贈りたいと考えました。たとえば、寿司とか刀とか、それだけで日本をイメージできるような物です。そこでたどりついたのが糸魚川翡翠でした。
日本製の翡翠はとても価値が高く、贈り物として喜ばれます。受け取った私の顧客は、こたきさんの糸魚川翡翠の作品をとても気に入っていますよ。正直に言うと、こんなにも喜ばれるなんて私自身も予想していませんでした。日本文化が愛されていることに、贈った私自身が驚いているのです。本当に感謝しています。

日本を代表するものとして
糸魚川翡翠を贈る理由

欧米の方々は日本の宝石にはあまり興味を持たないと思っていたのですが、そんなに糸魚川翡翠が好まれるのですか?

ええ、皆さんとても好きですよ。特に日本の魂や精神が込められている、日本文化を代表するもの(※1)を重要視しています。

私たちは日本で会社を経営しているので、国を超えてビジネスをする場面において、日本を代表するものを贈ることは重要な意味を持つのです。たとえば、糸魚川翡翠に出会う前は漆塗りのお椀や万年筆などを贈っていました。それぐらい国際社会の中では、自分たちが住んでいる国の文化を代表するものが何なのか、それを理解しているかどうかが大事なのです。

翡翠に込められた意味を、海外のお客様は理解されているのですか?

はい、彼らは翡翠に特別な意味があることを理解していますよ。翡翠は心と天国をつなぐものだと信じています。中東のトルコや西洋諸国の多くの人々は宝石が大好きで、その中でも翡翠の価値を理解しています。

実際に私の顧客でトルコ出身の方に糸魚川翡翠を贈った例をお見せしましょう。Semraさんという方です。彼女には糸魚川翡翠のペンダントを贈りました。

Semraさんと糸魚川翡翠のペンダント
Semraさんと糸魚川翡翠のペンダント

彼女はトルコの古代都市遺跡・プリエネ遺跡でよく長い散歩を楽しんでいるようです。糸魚川翡翠のペンダントを身に着けることで、彼女は古代との結びつきを感じられるのだそうです。

Semraさんが散歩を楽しむプリエネ遺跡
Semraさんが散歩を楽しむプリエネ遺跡

他にも、私が過去に糸魚川翡翠を贈った顧客は日本文化がとても大好きで、もちろん翡翠のことも知っています。日本文化に価値を感じているのです。私が考えるに、日本文化を愛する彼らにとって、日本で文化の一部である翡翠が日本人の手で作られていることは、とても重要なのでしょう。
海外に住んでいると糸魚川翡翠は手に入れるのがとても難しいですし、わざわざ翡翠を求めて日本に来ることも難しいものです。なので、特別な日のプレゼントとして私は糸魚川翡翠を贈っているんです。たとえば、新規契約の時やお祝い事がある時には通例として贈り物をするのですが、1回や2回なら贈り物を選ぶのに苦労はありません。高い万年筆などを選べばいいのですから。でも、毎年となったら何を選べばいいのか困ってしまいます。そして重要なのは、日本の文化的な物を贈らなければならないという点です。

10年間共に働く人に何を贈ればいいのでしょう?
そんな顧客に贈るものとして、糸魚川翡翠は本当にベストな贈り物なのです。

エクレムさんが日本文化に興味を持ったきっかけがあれば、聞かせていただけますか?

日本に住み始めてから、日本の精神や文化が私にとって重要な意味を持つようになりました。私は神社や日本の原風景がとても好きで、伊勢神宮や熊野古道など毎月行っても飽きないほど、心地よい場所だと思っています。
住んでいるうちに、日本はアジアの中心であり、太平洋文化全体の本質を表している国だと感じたのです。少なくとも、私はそう考えています。

国際社会から見る日本と糸魚川翡翠

日本人から考えると、アジアの中心は中国ではないかと思うのですが。

部分的にはそう思えますね。けれど、中国は歴史を置き去りにして、全く違う国になってしまった。一方、日本は歴史を背負いながら近代化を成功させています。日本は科学的発展や開発に対して、とてもおおらかで開放的な考えを持っています。この部分は科学者である私にとって、とても重要なことなのです。

日本に来る前はカナダやアメリカ、イギリスやタイにも住んでいました。その中でも日本ほど、文化の奥深さに加えて、技術革新、近代化、全てが揃っている国はありません。日本文化は非常に洗練されていて、公平で、常に変化を前向きに受け入れ、変化に対して偏見もありません。その柔軟な日本文化をどうやったら顧客に伝えることができるのか。特に、日本語の読み書きができないクライアントにどうやったら伝えることができるだろうと、いつも私は考えています。日本語が読めないクライアントに本を贈ることはできませんから。
そういう顧客に、こたきさんのInstagramを見せます。糸魚川の風景の写真がたくさん載っていますよね。みんな、その美しさに魅せられます。言葉はいりません。その景色の美しさは日本の一部で、翡翠の美しさはそこから来ていると考えています。

さらに別の視点をお話ししましょう。
私の顧客(西洋人)は中国製の翡翠もミャンマー産もあまり好みません。中国やミャンマーの政治情勢や軍事政権に批判的なことが理由です。その心の表れが不買に繋がるのでしょう。一方、日本は全く別です。日本という存在はそれだけ価値があるんです。私はそう信じています。日本製の翡翠であること、それが証明できることが本当に重要なのです。

日本製であることは、そんなに西洋や中東で価値があるのですね。

ええ、もちろん。
日本の外では、ありとあらゆるものを買うことができますが、日本製の翡翠は絶対に手に入らない。翡翠を重要視する人々は、その文化的背景や神秘性も重要視しますが、何より大事なのはそれが間違いなく日本製であること。それが一番大事なことなのです。
成功者やしっかりとした富裕層は、ありとあらゆる宝石(ダイヤモンド、ルビー、サファイヤなど)を手に入れていますが、その文化的背景を重要視しています。たとえば、ダイヤモンドはアフリカ産ですが、その採掘の実体は児童労働です。「血のダイヤモンド」という名前すらついている。確かにダイヤモンドは美しいですが、多くの問題を抱えていて、それらすべてを評価に入れれば、悪い印象しかない。他の宝石も似たような背景があります。だから更に欲しいという気持ちにはならないのです。既にたくさん持っていますからね。
一方、日本製の翡翠にはクリーンなイメージしかない。彼らは糸魚川翡翠をまだ手に入れていないのです。だから価値があるんです。日本の中心から生まれ、精神が形として表され、そしてこれらがこれから何千年も高い価値を維持し続ける可能性があることを、富裕層は理解しているのです。

こたきを選んだ理由

日本には国産翡翠を取り扱う店がいくつかありますが、その中でこたきを選んだのはどうしてですか?

こたきさんの糸魚川翡翠は、日本の翡翠を最高のかたちで表現しているからです。
こたきさんのことを教えてくれたのは、私の顧客たちでした。彼らはGoogle検索でビジネスで使う贈り物を検索しますが、こたきさんのウェブサイトに辿り着いて、その美しさに感動したのです。
サイトには様々な文化的情報が載っていました。翡翠が持つ意味や精神性、神秘性、さらには芸術家がどのような気持ちで、どのような意図で、どのような工程を経て作ったのかなど様々な情報が書かれていました。
それを見た外国に住む顧客から注文を受けたのです。「こたきの糸魚川翡翠がどうしても欲しい」と。その熱烈なオファーに、こんなにも彼らは翡翠に夢中になっているのだと気付かされたのです。

エクレムさんが思う糸魚川翡翠の魅力

エクレムさんは遺伝子学の研究を行っている科学者だとお聞きしています。翡翠はある意味ではとても歴史的な存在ですが、その神話的なものや歴史的な部分に惹かれるのは、どうしてですか?

人間の人生には、肉体的側面と精神的側面があると思っているからです。
確かに私は遺伝子学を研究していて、数学的な手法で分析、解析をしていますが、自分たちが何者であるかを教えてくれるのは文化だと考えています。自分たちがどういう人間か、どんなことを考え、何を感じ、どうしてそうなったか。その根源は文化にあると思うのです。

漆や翡翠を持っていると、日本の文化に触れるような気がします。中国製のノートパソコンや卓上のライトやその他の物を持っていても、文化に触れているような気は全くありません。不思議なものですね。科学者であると同時に、私は日本の精神的な部分を海外に向けて表現・紹介したいと思っています。

エクレムさんは翡翠を持っている時、幸せを感じたり、あたたかい気持ちになったりすることはありますか?

もちろん!

はじめて糸魚川翡翠の勾玉や原石などに触れた時はどのような気持ちでしたか?

すでに日本には住んでいたのですが、糸魚川翡翠に触れて、やっと日本に住み始めたんだなと実感しました。触れた瞬間に、日本の心・日本の一部に触れることができた気がしたんです。日本人であるあなた方にとっては興味深いことでしょう。

日本人にとって翡翠は、良く知っているありふれた物なのかも知れません。日本文化の習慣の中であなたたちは生きている。文化的習慣の中で生きることに何も疑問は抱かないでしょう。けれど日本文化の外にいる者にしてみれば、それは探求です。文化的探求です。糸魚川翡翠に触れると、その探求心が満たされるのです。もちろん、私の個人的感覚ですが。

次にエクレムさんが欲しいのは、どんな翡翠ですか?

やはり勾玉ですね。勾玉は日本人の心を表現しているので、勾玉を買いたいし、贈りたいです。私にとって贈り物に込める意味合いは、とても重要なことなのです。わがままを言って良いのなら、もっと伝統的なデザインの商品があれば、ぜひ作っていただきたいです。

指輪も良いですが、翡翠の指輪は誰もが似合うわけではありません。けれど、勾玉は誰でも身に着けたり、持ち歩けたり、素敵なオフィスに飾ることもできます。使い道がたくさんあります。勾玉が本当に好きなので、毎日こたきのウェブページをチェックしていますよ。見ているだけで幸せになります。

最後に糸魚川翡翠工房こたきへのメッセージをお願いします。

ぜひ海外の人向けに、糸魚川翡翠と日本の文化や歴史に関するページを作ってください。
日本の文化的・民族的主張は台頭しつつあります。翡翠は老若男女、誰もが身に着けることができる素晴らしいアイテムです。誰が身に着けても、誰が使っても良い。それが人気の秘訣です。そして、とても大事なことだと私は考えています。

私たちはとても小さな会社ですが、私が贈った糸魚川翡翠がきっかけとなって、顧客が日本を愛し始めたら、こんなに嬉しいことはありません。そしてある意味ではその目論見は成功しているなと感じています。顧客たちは日本と日本の歴史をとても高く評価しています。その理由は、高い芸術性が文化の中に息づいているからです。
ぜひ今後も素晴らしい作品を作り続けてください。新作を楽しみに待っています。

※1 2016年に翡翠は日本の国石に指定されている。

2023年 5月17日 インタビュー
聴き手 文LABO 松村瞳 https://bunlabo.com/author/hitomi-matsumura/

商品カテゴリー一覧